知ってることだけ話しますよ

主にニチアサ(スーパー戦隊・仮面ライダー・プリキュア)、ときどき読書

2018年2月の読書メーター&鑑賞メーターまとめ

2月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2866
ナイス数:67

〈映画の見方〉がわかる本 ブレードランナーの未来世紀 (新潮文庫)〈映画の見方〉がわかる本 ブレードランナーの未来世紀 (新潮文庫)感想
『トラウマ映画館』『トラウマ恋愛映画入門』につづき、町山さんの著作を読むのはこれで3冊目になる。80年代にアメリカを沸かせたマスターピースな映画たち……『ターミネーター』『未来世紀ブラジル』『プラトーン』『ロボコップ』、そして『ブレードランナー』など全8作品を取り上げ、そこに込められた情報を、丹念に丹念に読み解いていく。『ターミネーター』『ロボコップ』は何度も見ている作品なのに、本書で指摘されている要素に気づけなかった己の不明を恥じる。映画の深淵を知るのは、映画を見るのと同じくらい楽しいものだ。名著。
読了日:02月03日 著者:町山 智浩
淀川長治のシネマトーク 上 (マガジンハウス文庫)淀川長治のシネマトーク 上 (マガジンハウス文庫)感想
雑誌『an・an』に連載されたコラムを傑作選的に集めて書籍化したものである。タイトルに『シネマ“トーク”』とあるように、淀川長治みずから執筆したのではなく、インタビュアー三宅菊子聞き書きによる。「日曜洋画劇場」での“解説”とは違いあくまでトークであるから、やれカーク・ダグラスは嫌いだのスピルバーグは金の亡者になっただの、辛辣なディスりがちょくちょく入るのが面白い。
読了日:02月04日 著者:淀川 長治
淀川長治映画ベスト10+α (河出文庫)淀川長治映画ベスト10+α (河出文庫)感想
淀川長治が生前、『キネマ旬報』をはじめとする映画雑誌へ寄稿した文書を集めた書籍である。「日曜洋画劇場」での解説とは打って変わって、作品の良い所・悪い所、監督の上手さ・下手さをズバズバと鋭く批判する姿勢に、新鮮な驚きを味わう。なるほど「解説」と「評論」とはまるっきり違うものなのね。本の中で挙げられて興味を抱いた映画のソフトをamazonのカートに突っ込んだら、破産しそうなほどパンパンになっちゃった。むふふふふ。
読了日:02月07日 著者:淀川 長治
知らないではすまされない自衛隊の本当の実力 (SB新書)知らないではすまされない自衛隊の本当の実力 (SB新書)感想
SB新書の池上本はテレビ番組(フジテレビ系列『池上彰緊急スペシャル』)の書き起こしが多いが、これもその例に漏れず。自衛隊の成り立ちや仕事内容について論じている。軍事について書かれた本は、右翼的であったり中韓への差別意識にまみれていたりしてムナクソ悪いものが多いが、本書はすんなり読める分、かなり良識があると思う。
読了日:02月15日 著者:池上 彰+「池上彰緊急スペシャル!」制作チーム
四畳半神話大系 (角川文庫)四畳半神話大系 (角川文庫)感想
「なんでこんな、性根の腐った人間のクズみたいな奴が主人公なのに、何とも言えぬ心地よい味わいが全編にわたって滲み出てきてるんだろう」 「いわば作者なりの愛ですよ、愛」 「こんな汚い愛など……ちくしょう、大好きだ!!」
読了日:02月19日 著者:森見 登美彦
知っているようで実は知らない世界の宗教 (SB新書)知っているようで実は知らない世界の宗教 (SB新書)感想
キリスト教イスラム教、仏教、神道についてざっくり解説。それと、近年の皇室をめぐる動きなど。
読了日:02月19日 著者:池上彰+「池上彰のニュースそうだったのか!!」スタッフ
ボトルネック (新潮文庫)ボトルネック (新潮文庫)感想
もしかすると、この作品に影響されて厭世観に耐えきれなくなり、自ら命を絶ってしまう人が出るかもしれない――そんな考えが頭をよぎるほど、よく出来ている。何かをしなかった後悔は、積もり積もると己の全てを潰すのだ。胸が深く抉られる名作である。
読了日:02月26日 著者:米澤 穂信
怖すぎる永井豪~くずれる編~ (トクマコミックス)怖すぎる永井豪~くずれる編~ (トクマコミックス)
読了日:02月26日 著者:永井豪とダイナミックプロ
怖すぎる永井豪~ススムちゃん大ショック編~ (トクマコミックス)怖すぎる永井豪~ススムちゃん大ショック編~ (トクマコミックス)
読了日:02月26日 著者:永井豪とダイナミックプロ

読書メーター

2月の鑑賞メーター
観たビデオの数:1本
観た鑑賞時間:115分

ジャンボーグA VOL.3【DVD】ジャンボーグA VOL.3【DVD】
第11話「壮烈!! 涙の一撃」~第15話「嵐を呼ぶマッドゴーネ」まで。アンチゴーネとの決着で1クール目を締めくくる12・13話の前後編がハイライトだが、ペットを題材にしながらドン引きするくらいハードボイルドな結末を迎える11話のインパクトもかなりのものだ。
鑑賞日:02月16日 監督:Array,東條昭平

鑑賞メーター

2017年1月の読書メーター&感想メーカーまとめ

1月の読書メーター
読んだ本の数:1
読んだページ数:192
ナイス数:36

「司馬遼太郎」で学ぶ日本史 (NHK出版新書 517)「司馬遼太郎」で学ぶ日本史 (NHK出版新書 517)感想
史実との違いをあげつらうのではなく、あくまで司馬作品が内包していたロマンや現代へのメッセージを尊重し、丹念に読み解いていく姿勢に好感が持てる。歴史ガイドとブックガイド両方の面を兼ね備えた贅沢な一冊。
読了日:01月09日 著者:磯田 道史

読書メーター
1月の鑑賞メーター
観たビデオの数:2本
観た鑑賞時間:249分

地獄のバスターズ < HDニューマスター版 > [DVD]地獄のバスターズ < HDニューマスター版 > [DVD]
鑑賞日:01月08日 監督:エンツォ・G・カステラッリ
あの頃映画 the BEST 松竹ブルーレイ・コレクション 砂の器 [Blu-ray]あの頃映画 the BEST 松竹ブルーレイ・コレクション 砂の器 [Blu-ray]
松本清張の同名小説を橋本忍山田洋次が脚色し、野村芳太郎がメガホンをとったミステリー巨編。美しい映像と音楽で描き出される親子の絆、人間の宿命が胸を打つ。出演者も丹波哲郎加藤剛をはじめ多士済々の顔ぶれがそろっており、昭和の日本映画のパワーが感じられる。
鑑賞日:01月20日 監督:野村芳太郎

鑑賞メーター

AnmitsuK の本棚 - 2018年01月 (3作品)
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2017年の読書メーターまとめ

2017年の読書メーター
読んだ本の数:80
読んだページ数:22401
ナイス数:798

新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)感想
コインロッカーに捨てられた2人の少年が辿る、毒々しい運命の物語……と一言でまとめるのは簡単だが、読む側の心を掻き毟る凄まじさは尋常ではない。極端に少ない改行で、頁が真っ黒になるほど埋め尽くされた文字また文字。描写するというより、叩きつけると言ったほうが似合いそうな筆致に圧倒された。
読了日:01月02日 著者:村上 龍
考えない練習 (小学館文庫)考えない練習 (小学館文庫)感想
2017年は自己改造に挑もうと思って購入した。簡単にまとめれば、『(アレコレ余計なことを)考えない(で、集中力を高める)練習(でもキツいことは何にもありませんよ)』といったところ。各章で挙げられるネガティブな考え方・生き方の例が、まさしく自分に当てはまることばかりで、「今まで随分と、自分で自分を苦しめてきたのだなぁ」と神妙な気持ちになった。内容を全て実行するのは無理でも、やれそうなことから始めてみよう。
読了日:01月06日 著者:小池 龍之介
苦しまない練習 (小学館文庫)苦しまない練習 (小学館文庫)感想
『考えない練習』につづいてこちらも。いちばん心に残ったのはLesson17「この瞬間を生きる」だった。「過去も未来も考えるな、今を生きるのが大事」という主張はこのテの本だと常套手段だが、「過去の美しい思い出も未来への期待も、苦しみを生み出す元凶である」との指摘にはハッとさせられた。大事なのは、今何をするかだけなんだ。2冊読んで、だいぶ気持ちがラクになった。
読了日:01月06日 著者:小池 龍之介
あかんやつら 東映京都撮影所血風録 (文春文庫)あかんやつら 東映京都撮影所血風録 (文春文庫)感想
同著者の『時代劇は死なず!』は主にTV時代劇の歩みを追った書だったが、こちらは映画、それも「東映京都撮影所」に絞ったものである。530頁の大ボリュームだが、読む手はまったく止まらず、一気に読み切ってしまった。映画に全てをかけて魂を燃やし尽くした、フィルムに写っていない作り手たちの熱すぎるドラマに、泣き笑いが止まらない……
読了日:01月09日 著者:春日 太一
嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)感想
加賀恭一郎シリーズ第6の事件は短編集である。収録された5本すべて、人間誰しもが抱え得るだろう悪意を巧みに描き出しており、読み終わった後は苦い余韻が残る。それはストーリーが所謂「鬱展開」である点に加え「自分も、タイミングさえあったら殺人者になってしまうかも……」という恐怖によるところも大きい。同じ人間である以上、殺人者とそうでない者との境目は、極めて希薄なものなのかもしれない。
読了日:02月02日 著者:東野 圭吾
ふたりはプリキュア Max Heart プリキュアコレクション (ワイドKC なかよし)ふたりはプリキュア Max Heart プリキュアコレクション (ワイドKC なかよし)感想
バトル要素を省いた、なぎさ・ほのか・ひかり3人組の日常コメディ作品。ひかりが加わったことで、なぎほの2人の間がギクシャクしたり却って絆が深まったり、バディものだった前作とはまたひと味ちがった趣きがある。最終回には日向咲&美翔舞がちらりと顔見せ!
読了日:02月05日 著者:上北 ふたご
ふたりはプリキュア Splash☆Star1 プリキュアコレクション (ワイドKC なかよし)ふたりはプリキュア Splash☆Star1 プリキュアコレクション (ワイドKC なかよし)感想
Max Heart』までは日常コメディだったが、こちらはTV版のフォーマットに沿った、バトル有りの忠実なコミカライズ。1話ごとの頁が多めで、プリキュアの醍醐味である「日常・友情・戦い」がしっかり楽しめるのが嬉しい。しかし、戦闘中に敵キャラが呆れるくらいイチャイチャする咲舞は、まさに百合会のレジェンドであるな(笑)
読了日:02月05日 著者:上北 ふたご
ふたりはプリキュア Splash☆Star2 プリキュアコレクション (ワイドKC なかよし)ふたりはプリキュア Splash☆Star2 プリキュアコレクション (ワイドKC なかよし)感想
2006年当時、前半部分を収録した1巻しか刊行されず、未完のまま放置されていたマンガ版『S☆S』がついに完結。新たな力でキュアブライト・キュアウィンディに変身した咲と舞は、ゴーヤーンの手で無残に引き裂かれた満・薫との絆を取り戻し、緑の郷を守り抜くことができるか。4人が力を合わせての最終決戦は、熱く激しい感動の嵐が巻き起こります。読めてよかったぁ……!
読了日:02月05日 著者:上北 ふたご
夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)感想
作品世界に戸籍を移して住み着きたくなるような、何ともここちよい物語でありました。根が俗物なわたくしめには、とてもとてもオモチロイ小説と思われたのですけれども、これは生真面目な御仁が手に取ったら、頁をめくるごとにボルテージ上昇、ついには怒髪天を衝き書を燃やしてしまうのではないかしらん。どっこい本作は山本周五郎賞受賞作。生真面目な御仁が読んでもオモチロイ小説だったようです。なむなむ!
読了日:03月02日 著者:森見 登美彦
ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~ (角川つばさ文庫)ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~ (角川つばさ文庫)感想
角川ビーンズ文庫の『告白予行演習』とは別物で、映画の内容をそのまま小説として書き起こしてある。ノベライズならではの要素などは特になく(強いていえば、イラストにヤマコ絵とひと味ちがう趣きがあるくらいか)、映画のストーリーをリーズナブルに復習できるツールってとこかな
読了日:03月05日 著者:香坂茉里
新参者 (講談社文庫)新参者 (講談社文庫)感想
連ドラにもなった加賀恭一郎シリーズ第8の事件。日本橋署に転任した加賀が、ある殺人事件に絡む様々な人間模様に遭遇する。ミステリーにつきものの「証言をする名もなきモブ」にスポットをあてた風変わりな形式で、各章ごとに主役が入れ替わる。トリック自体はさほど大がかりなものではなく、ここは素直に人情ドラマを楽しむのが正解だろう(だからこそ、数あるシリーズ作品の中から本作が連ドラの素材に選ばれたのだろうし)
読了日:03月10日 著者:東野 圭吾
火花 (文春文庫)火花 (文春文庫)感想
お笑い芸人が書いた処女作ということで、どうしても評価は甘口にならざるを得ないのだが、有り体に言って面白かった。先達文豪へのリスペクトをひしひしと感じる静謐な情景描写と、おそらく著者自身の内なる考えが迸ったであろう主役二人の熱いやりとり。アンバランスなほどの二要素が、静けさと激しさの美しいコントラストを生んでいる。
読了日:03月16日 著者:又吉 直樹
麒麟の翼 (講談社文庫)麒麟の翼 (講談社文庫)感想
映画にもなった加賀恭一郎シリーズ第9の事件。再び松宮とコンビを組んだ加賀が、日本橋の上で起きた殺人事件の真相究明に臨む。同シリーズとしては珍しく、過去作品(『赤い指』、『新参者』) と明確にリンクしており、これまでシリーズに付き合ってきた読者に対するサービス精神が感じられる。ストーリー面でも、意外な展開、泣かせる人間ドラマ、爽快感がありながらも少し含みを持たせた締め等、東野ミステリーの美味しさがバランスよく取り揃えてある。加賀シリーズの集大成といえるかもしれない(まだ『祈りの幕が下りる時』が残ってるけど)
読了日:04月01日 著者:東野 圭吾
遮光 (新潮文庫)遮光 (新潮文庫)感想
狂人の心理を垣間見る。恋人の死体から手の小指を切り離し、それをホルマリン漬けにして、瓶に入れて持ち歩く「私」。恋人が死んでいることを理解しているのに、納得することを拒み、自分と周囲を嘘で騙し続ける。「私」は自分が異常者であることを認識しつつも、狂った行いに取り憑かれてやめられず、しばらくするとまた己の異常性を自覚して嘆く。正気と狂気の目まぐるしいスイッチングは、まるで浅い眠りからの目覚めと就寝を繰り返すような苦しさに満ちていた。
読了日:04月04日 著者:中村 文則
激愛 調教ロマネスク: 伯爵様とティアドロップ (ティアラ文庫)激愛 調教ロマネスク: 伯爵様とティアドロップ (ティアラ文庫)
読了日:04月09日 著者:沢城 利穂
祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)感想
吉川英治文学賞を受賞した、加賀恭一郎シリーズ第10の事件。みたび松宮と組んで殺人事件の捜査にあたった加賀が遭遇する、悲しき数奇な運命とは。ファンサービス的な仕上がりだった前作『麒麟の翼』とは対照的に、シリアスで重厚な人間ドラマをじっくりと読ませる。これがシリーズの終着点であることに不満は無いけれど、個人的に加賀&松宮の年の差いとこコンビがすごく好きなので、シリーズの新作が出たらまた読むことだろう。
読了日:04月12日 著者:東野 圭吾
大人の発達障害 アスペルガー症候群、AD/HD、自閉症が楽になる本 (集英社文庫)大人の発達障害 アスペルガー症候群、AD/HD、自閉症が楽になる本 (集英社文庫)感想
この手の本は「そういう人(アスペルガー)にどう接すればいいか」に頁が割かれていて、当人がどうすればいいのかよく分からないので、つらさが軽減されないのがなんとも。この本の内容を踏まえて上司に相談したら、「そこまで自覚できてるなら、自力でなんとかしなよ」と言われて絶望した私のようなケースもあるしな。
読了日:05月03日 著者:備瀬 哲弘
映画秘宝EX激闘! アジアン・アクション映画大進撃 (洋泉社MOOK 映画秘宝EX)映画秘宝EX激闘! アジアン・アクション映画大進撃 (洋泉社MOOK 映画秘宝EX)感想
まさしくタイトル通り、濃厚な「アジアン・アクション映画」についてのムック。ブルース・リー、ジャッキー・チェン、ジェット・リー、ドニー・イェンら香港のドラゴンたちから始まり、韓国、台湾、中国本土、さらにインド、インドネシアベトナムにイラン(!)まで、アジア全域のアクション映画の歴史を網羅している。読み応え抜群の一冊だ。
読了日:05月05日 著者:市山 尚三,宇田川 幸洋,江戸木 純,加藤 よしき,北小路 隆志,坂川 直也,知野 二郎,筒井 修,土居 伸彰,深沢 寛,藤本 洋輔,結城 らんな,よしだ まさし,劉文兵
アスペルガー症候群 (幻冬舎新書 お 6-2)アスペルガー症候群 (幻冬舎新書 お 6-2)感想
実直な記述でわかりやすい内容に仕上がっている。いるのだが、本書の内容を踏まえて上司に相談したら「対人関係のトラブルなんて誰でも抱えてる。お前はコミュニケーション能力を学ぶのを怠けたいだけだ」と言われて絶望した。もう駄目だ
読了日:05月13日 著者:岡田 尊司
人間失格 (角川文庫)人間失格 (角川文庫)感想
【『文豪ストレイドッグス』アニメカバー本にて】今なお、世にあふれる中二病高二病罹患者の脳髄を破壊し続ける、傑作中の傑作。いつも世界すべてに恐怖と不信感を抱きながら、ビクビクしつつ生きる葉ちゃんの姿に己を重ね合わせる読者は後を絶たず(私だってその一人だ)。本作を鼻で笑える者は幸せである。叶うならば、そういう人はそのまま、本作をせせら笑える状態をキープして、生涯を終えていただきたい。
読了日:05月15日 著者:太宰 治
ひとにぎりの未来 (新潮文庫)ひとにぎりの未来 (新潮文庫)感想
星新一が類まれなイマジネーションで描き出す、未来像のひとピースたちが40編。「科学が進歩したら、我々は何を得て、何を失うのか」。そんな問いかけが聞こえてきそうな読後感であった。
読了日:06月10日 著者:星 新一
羅生門・鼻・芋粥 (角川文庫)羅生門・鼻・芋粥 (角川文庫)感想
【『文豪ストレイドッグス』アニメカバー本にて】 小説も随筆も、通底しているのは果てない虚無。爽やかさや幸福感などとは無縁の、思い通りに生きられぬ人心の弱さ(芋粥、鼻、葬儀記など)に、暗い孤独の影(老年、ひょっとこ、父など)であった。
読了日:06月14日 著者:芥川 龍之介
痴人の愛 (角川文庫)痴人の愛 (角川文庫)感想
文豪ストレイドッグス』に登場する谷崎潤一郎の妹・ナオミの元ネタ(この『痴人の愛』に登場するナオミが、谷崎潤一郎の義妹をモデルにしていたことにちなんでいる)。400頁ちかい分量で綴られているのは、底知れぬ女の魔性と、それに理性を破壊され屈服する、マゾヒスティックな男の狂気である。女性賛美と形容するには、あまりにも淫靡で禍々しく歪んだ愛の世界だった。谷崎潤一郎という人は、正真正銘のド変態であるなぁ。
読了日:07月01日 著者:谷崎 潤一郎
汚れつちまつた悲しみに…… 中原中也詩集 (角川文庫)汚れつちまつた悲しみに…… 中原中也詩集 (角川文庫)感想
詩集とは感ずることが全てであり、ココでああだこうだと書き連ねるものではないと思う。
読了日:07月04日 著者:中原 中也
なぜ、世界は“右傾化"するのか? (ポプラ新書)なぜ、世界は“右傾化"するのか? (ポプラ新書)感想
なんだか最近、世の中ゴチャゴチャしてきやがったなぁと思ったので手に取った。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツが抱える「右傾化(=時代の逆行を望む動き)」と難民・移民の問題について、池上彰の解説と増田ユリヤの現場ルポを交互に配置して読み解いていく構成。マスコミが報じ切れていない部分までいろいろと突っ込んであり、今後ニュースを見るにしても視点が少しちがってきそうだ。
読了日:07月05日 著者:池上彰,増田ユリヤ
転生 (幻冬舎文庫)転生 (幻冬舎文庫)感想
「臓器移植」に材をとった社会派ミステリーである。デリケートなテーマでありつつも、ファンタジー性、家族愛、友情、恋愛に、科学・医学の蘊蓄など盛りだくさんの内容で難解さも無く、分厚さが全く苦にならない面白さだった。ラストの落とし所も、題材の重さとエンタメの嘘とのバランスが丁度よい。
読了日:07月12日 著者:貫井 徳郎
夜は短し歩けよ乙女 新装版 上 (MFコミックス アライブシリーズ)夜は短し歩けよ乙女 新装版 上 (MFコミックス アライブシリーズ)感想
森見登美彦の同名小説をコミカライズ。画風の好悪があまり分かれない琴音らんまるを起用しただけあって、とても口当たり良く仕上がっている(原作はあらゆる意味でアクが濃すぎるからね)。さらに、漫画版独自のエピソード(この上巻では第三章、四章、六章)が数多く挿入されているのも楽しい。
読了日:08月04日 著者:琴音 らんまる
修羅の終わり (講談社文庫)修羅の終わり (講談社文庫)感想
公安警察VS極左団体の抗争を軸に、3つの物語が並行して進んでいく本格ミステリ。800Pを超える膨大な分量のなかで、ひたすら陰陰滅滅とした暗くて黒くて残虐きわまる鬱展開がつづく。そんな中で、低音ボイスのおねえキャラ:留美子さんがとてもイイ味を出しており、殺伐としたストーリーに潤いを与えている(この人の存在がなかったら、とても最後まで読めなかっただろう)。
読了日:08月07日 著者:貫井 徳郎
探偵ガリレオ (文春文庫)探偵ガリレオ (文春文庫)感想
変わり者の助教授:湯川学が、友人の草薙刑事から持ち込まれた不可能犯罪のトリックを見破り事件を解決してゆく、一話完結型のミステリー。湯川と草薙の主役バディがイイ味を出しているし、理工学の薀蓄が数多く披露されるのも、知的好奇心がくすぐられて楽しい。こりゃ売れるわけだ。
読了日:08月14日 著者:東野 圭吾
Go!プリンセスプリキュア(2) プリキュアコレクション (ワイドKC なかよし)Go!プリンセスプリキュア(2) プリキュアコレクション (ワイドKC なかよし)感想
前巻から番外編路線は変わらず。テレビシリーズが品の良い仕上がりだったせいか、ドタバタコメディ的な話に魅力を感じてしまう。そして最大のトピックは、描き下ろしの最終回。この大胆さは、別媒体だからこそできる展開であるな。アナザーストーリーの醍醐味がここにある。
読了日:08月15日 著者:上北 ふたご
ガリレオの苦悩 (文春文庫)ガリレオの苦悩 (文春文庫)感想
新キャラ:内海薫が加わるシリーズ第四弾。予想外のフォーマット崩しに驚く第一章「落下る」、長編さながらの濃いドラマが展開する第二章「操縦る」、『岸やん』こと岸谷の再登場が地味に嬉しい書き下ろし第四章「指標す」など、ハズレ無しの面白さは健在である。また、本巻からワトソン役が草薙から薫にバトンタッチしているが、それでも草薙の存在感が薄れていないのは実に良い。ほんとに東野圭吾は、全方位に優しい作家だなぁ。
読了日:09月03日 著者:東野 圭吾
新版 美しい元素 (学研の図鑑)新版 美しい元素 (学研の図鑑)
読了日:09月10日 著者: 
聖女の救済 (文春文庫)聖女の救済 (文春文庫)感想
ガリレオシリーズ第5弾で、長編としては第2弾となる(ややこしい)。『容疑者xの献身』では湯川の苦悩が描かれたが、今回は草薙刑事の苦悩が描かれる。人間関係もトリックも複雑極まるので、読んでいて少し混乱したが、それだけに謎が解明されたときの驚きもかくや……であった。
読了日:09月21日 著者:東野 圭吾
この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)感想
言わずと知れた大ヒットアニメ映画の原作である。絵とストーリーの魅力はもちろんのこと、随所にハシラ(コマの枠外)で、戦中の暮らしについての注釈がついているのも興味深い。
読了日:10月05日 著者:こうの 史代
この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)感想
映画では描かれていないエピソードが多く、新鮮な気持ちで読めた。特にりんさん周りの話は、原作だとかなり掘り下げられており、印象深いものになっている。現在、アニメの方は長尺版の準備が進んでいるらしいが、この辺りも映像化されるのだろうか。
読了日:10月05日 著者:こうの 史代
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)感想
以前、なにかの本で『はだしのゲン』を「普通なら絶対に分からないことを、何がなんでも分からせようとする物語」と論じているのを読んだ。その表現を借りるなら、『この世界の片隅に』は、「普通なら絶対に分からないことを、誰にでも分かるかたちで描いた物語」と言えよう。今も昔も、人は世界の片隅で、誰かを見つけ、誰かと一緒に生きている。
読了日:10月05日 著者:こうの 史代
夜よ鼠たちのために (宝島社文庫)夜よ鼠たちのために (宝島社文庫)感想
某所で見かけた「連城三紀彦推理小説好きには避けて通れない道」との評にいても立ってもいられなくなり手に取った。読み終わり、それは紛れもない真実であったことを知る。暗く澱んだ心の奥底を描き出す筆致と、意表をつくトリックのアイデア。読む者全てを酔わさずにおれない、味わい深い銘酒のごとき作品集だった。
読了日:10月05日 著者:連城 三紀彦
時代劇の「嘘」と「演出」 (歴史新書)時代劇の「嘘」と「演出」 (歴史新書)感想
週刊ポスト」誌上に連載された『時代劇を斬る!』をまとめたもの。主に<考証>の観点から、新旧問わず時代劇を語っている。歴史に詳しくなれる実用書というわけでもなく、その辺りを期待したら、得るものは多くないかもしれない(随所にトリビア的な歴史知識が記されているので、少しは勉強になる)。
読了日:11月08日 著者:安田 清人
夜は短し歩けよ乙女 (角川つばさ文庫)夜は短し歩けよ乙女 (角川つばさ文庫)感想
作品世界に戸籍を移して住み着きたくなるような、何ともここちよい物語でありました。根が俗物なわたくしめには、とてもとてもオモチロイ小説と思われたのですけれども、これは生真面目な御仁が手に取ったら、頁をめくるごとにボルテージ上昇、ついには怒髪天を衝き書を燃やしてしまうのではないかしらん。どっこい本作は山本周五郎賞受賞作。生真面目な御仁が読んでもオモチロイ小説だったようです。なむなむ!
読了日:11月16日 著者:森見 登美彦
真夏の方程式 (文春文庫)真夏の方程式 (文春文庫)感想
寂れた観光地で湯川と出会った小学五年生の少年・恭平くんを中心に展開する、ガリレオシリーズ長編三作目。シリーズ最長464頁のボリュームでもって語られる物語は、湯川&恭平くんの凸凹コンビがジュブナイル的展開を見せながら、『容疑者Xの献身』と重なる部分をうかがわせつつ、また松本清張砂の器』へのオマージュと思わしき描写が用意されている、多層的な仕上がりである。読後にのしかかる重みも、そんな多層的な物語に相応しい複雑なものであった。
読了日:11月30日 著者:東野 圭吾
君の名は。 (角川つばさ文庫)君の名は。 (角川つばさ文庫)感想
言わずと知れた大ヒット映画を、監督自らの手で小説化した作品である。都内在住の高校生・瀧と、田舎に住む女子高生・三葉が、不思議な運命に導かれて惹かれ合う、ファンタジックな物語。一人称形式のライトノベル風タッチであるせいか、映画本編よりもコミカルさが増しているように感じられる。また活字の利点を活かし、主人公ふたりの心情が細かく掘り下げられている所も特筆すべきだろう。映像で伝えきれなかった部分をここで描き切らんとする、監督の熱意が伝わってきた。
読了日:12月03日 著者:新海 誠

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