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森友学園の教育方針で生まれるのは、愛国者じゃなく植松望だろう

 

このところ、にわかに「森友学園」なる法人の存在がニュースを騒がせている。

 

報道の核になっているポイントは、大きくわけて以下の3つであるようだ。

 

①私立「瑞穂の國記念小學院」の建設が予定されていた国有地が、本来8億円以上かかるのにもかかわらず、1億円ほどで払い下げられたこと

②その建設に総理大臣・安倍晋三と、その妻・昭恵が深く関わっているかもしれないこと

③そして、「瑞穂の國記念小學院」の母体である学校法人「森友学園」が運営する「塚本幼稚園」が、常軌を逸した児童虐待と民族差別の温床であること

 

①と②に関しては、おいおい追求等なされるであろうから、あまり現時点で単なるペーペーのわたしが言及することではあるまい。そんな立派なことできる脳みそ持ってないし。

 

この件について、わたしが見逃せないのは③だ。

 

どうにも森友学園というのは、思想のバックボーンに、あまりにも歪みきったショービニズムがあるらしい。

ニュースを見ていても、虐待を愛国の美名に隠れて正当化しようとする開き直りがひしひしと感じられ、底知れぬ恐ろしさを覚える。

 

森友学園ヘイト文書配布(赤澤竜也) - 個人 - Yahoo!ニュース

「韓国人とかは、整形したり、そんなもの※をのんだりしますが、日本人はさせません。根っこが腐ることを幼稚園では教えてません」

*1

 

 

【森友学園疑惑】 ウソ!⇒松井一郎大阪府知事「森友学園の虐待の通報はない。」 / 「犬臭い?」園児に虐待、裁判に、大阪府にも通告 - 異教の地「日本」 ~二つの愛する”J”のために!

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 安倍昭恵(元)名誉校長の言う、「日本人としての誇りを持つ、芯の通った子ども」は、成長すると、こういうことを行う人間になるらしい。

 

こんな腐れ外道の思想犯が野放しになっていて、なおかつ人を教える職についている事実に戦慄せざるを得ない。クズが恥を知らぬまま年を食ったらキ印になってしまうことを示した、分かりやすいモデルケースである。

 

出自や民族など、自力でどうにもできない要素を理由に積極的な差別を行い、心身を傷つけ、それを開き直って正義面をする。こいつらの脳みそは、障害者19人殺しの植松望と何がちがうのか。

 

いやぁ凄いや、これが誇りを持ち芯の通った日本人だというなら、俺は誇りも芯も無い非国民でけっこうだね。

 

日本会議の研究 (扶桑社新書)

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  • こんな奴らは戦前でもアホ扱いだ

こういった自称「愛国者」たちの言動を、戦前回帰と言って批判する向きがあるが、果たしてそうだろうか。

 

私にはどうも、彼らがさながらエルドラドのごとく夢想している「取り戻すべき、美しい日本」というものが、歴史のいかなる時代にも存在しない、ファンタジー国家のように思えてならない。

gendai.ismedia.jp

そう、戦前の小学生は、祝祭日にわざわざ学校に行って、こんなに堅苦しい儀式に参加しなければならなかった。その空間は厳粛をきわめ、御真影が置きっぱなしにされたり、「教育勅語」がガヤガヤと子供に唱えられたりするなど、もってのほかだった。

くだんの幼稚園は、戦前ならば、不敬罪に問われたかもしれない。戦後的な、あまりに戦後的な実態。同園の愛国教育を戦後の「二次創作」と呼ぶゆえんである。

 

………………

君が代」は、これからも国歌として使用するべきである。ただし、「歌うか、歌わないか」と踏み絵のように使うべきではない。万人に受け入れられやすい「聴く国歌」が落としどころではないかと思われる。

教育勅語」は、復活させるべきではない。発布直後から問題点が指摘されており、今日の複雑化した社会ではとうてい使用に耐えない。部分的に評価できるところがあるのならば、別の文書を用意するべきである。

 

いやぁ、さすが辻田先生の解説は、毎度毎度ためになるなぁ。

 

そもそも、中国人に対し「支那人」などと時代遅れの呼び方をして平然とヘイトスピーチを行うのは、戦前回帰でも何でもない。

 

歴史研究家の秦郁彦教授は、保阪正康との対談の中で、10歳のころ学校の先生から聞いた話を回想している。興味深い内容なので以下に引用。

「中国は、文化的には日本の先生格、先輩格である。なぜその国と戦争をしているのか。それは日本が賢い弟で、中国が愚かな兄になってしまったからだ。兄は決して悪い性格ではないが、気が弱くて米英などに扇動されて、ぐれてしまった。それを正すために、『兄さん許せ、正気に戻ってくれ』と心の中で泣きながら、兄を殴っている」

 

朝日文庫『昭和の戦争 保阪正康対論集』p108より

これはあくまで秦教授個人の体験であって、この教師の言葉を過度に一般化することはできないだろう。だが、示唆に富んだものではあると思う。

同じ対談で相手の保阪氏も、自分の父が日中戦争に対して語った言葉を回想している。

(保坂氏の父は)戦前からの親中派だったのですが、戦後、なぜ中国と戦争をしたんだ、との私の問いに、

『中国は根っこにすごくしっかりとした文化を持っているのに、近代ではあまりにもだらしないところがある。だから日本人は殴ったそのびんたが傲慢であったことは反省すべきだが……』

 という考えも成り立つと案に認めていました。

 

朝日文庫『昭和の戦争 保阪正康対論集』p108より。()内はAnmitsuK による。

 

ノンフィクション作家・安田峰俊による著書『知中論』(星海社新書)でも、日本人の対中感情について書かれた第7章にて、日本人は優れた文化を持った中国を愛しおり、その愛が時おりオカシな方向へと暴走してしまうヤンデレのようなものと指摘している。

 

明治時代を迎えてから昭和初期の日本には、日本が中国・朝鮮と仲良く近代化を果たして白人勢力に拮抗せんとする、素朴な大亜細亜主義の思想が息づいていた。そして、中国の近代化に協力を惜しまなかった人々もいた(孫文を助けた頭山満秋山定輔犬養毅孫文から信頼されていた宮崎滔天、山田純三郎など……)。

 

彼らが本当に日本(というより大日本帝国か……)の心を大事にするなら、中国人・韓国人に対してのヘイトスピーチは、それこそ恥ずべき思想ではないのか。素晴らしい日本の精神を中韓にも伝え、共に手を取り合う大亜細亜主義を目指すのが筋じゃないの? 知らんけど。

 

そうじゃないなら、何が保守だ、何が誇りだ、何が芯だ、腐れ外道どもが。

 

*1:※……コーラやファンタといった炭酸飲料のこと。家庭で炭酸飲料を与えたことについて注意した文書に、何の脈絡も根拠もなく韓国人への非難を入れ込んでいる