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森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』(☆☆☆)

夜は短し歩けよ乙女』(単行本2006年、角川文庫2008年、角川つばさ文庫2017年)

著:森見登美彦

イラスト:中村佑介(単行本、角川文庫)、ぶーた(角川つばさ文庫

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

 
夜は短し歩けよ乙女 (角川つばさ文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川つばさ文庫)

 

 

<物語>

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。

 

一言で言うと「奇人変人大集合絵巻」。出てくる人物にマトモなやつが誰ひとりとしていないし、巻き起こる事件は素っ頓狂かつ荒唐無稽、頭の固い人は「ふざけているのか」と怒り出すようなバカバカしさです。でもそれがいいんです、最高に気持ちいい。読み進めるうちに、

 

「この世界に戸籍をうつして住み着きたい!」

 

と思える居心地の良さがたまりません。こんな気持になったのはアニメ『となりの怪物くん』以来です(あれも奇人変人大集合絵巻で、とてもとても居心地のいい世界観だった……)。

 

嫌な現実から逃れ、すこぶる居心地のよい森見登美彦ワールドに浸る快感は、一度味わったらクセになること請け合いですよ。

 

夜は短し歩けよ乙女 (角川つばさ文庫)