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知ってることだけ話しますよ

主にニチアサ(スーパー戦隊・仮面ライダー・プリキュア)、ときどき読書

『ずっ好き。』は実質『コマンドー』であるという、こじつけ

映画『ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~』(以下、『ずっ好き。』を見た。


数々のヒットソングを世に放ってきたHoneyWorksの人気楽曲を軸にしたアニメ!映画『ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~』予告編

2016年4月23日公開。脚本:成田良美、監督:柳沢テツヤ

 

ニコニコ動画を主な活動拠点として活動している音楽クリエーターグループHoneyWorksハニーワークス、略してハニワ)の楽曲から世界観を膨らませ、アニメ映画化した作品。この映画ではハニワの楽曲のうち、「告白予行練習」「初恋の絵本」「ヤキモチの答え」の3曲をストーリーのベースとしている。

漫画や小説ではなく、楽曲をアニメ化するという珍しい企画。しかもメジャーなアーティストの曲でなく、アマチュア(セミプロ?)バンドが動画サイトに投稿した曲が原作。

新しい時代の息吹を感じる……と言ったら持ち上げすぎか。しかし斬新な企画であることは確かだ。

 

…… …………

 

幼なじみのイケメン:瀬戸口優(CV:神谷浩史に片思い中の榎本夏樹(CV戸松遥は、ある日の放課後、優を呼び出して想いを告白するが、気恥ずかしさに耐えきれなくなり、「告白の予行練習」だとウソをついてしまう。

本当の気持ちをごまかしつづける夏樹だったが、同じクラスの綾瀬恋雪(CV代永翼からデートに誘われたことで、事態は急速に動き出す。

 

………………

 

 脚本はプリキュアシリーズで知られる成田良美(第1作『ふたりはプリキュア』から第12作『Go!プリンセスプリキュア』までの全タイトルに参加していた凄い人)。一筋縄ではいかない複雑な感情の交錯を描くのに長けた名手であり、『ずっ好き。』のようなタイプの作品にはうってつけの人材だ。本作でも、その手腕は遺憾なく発揮されている。もどかしい恋情の交差に悶えるがよい。

 

 

そして声優陣がまた良い。主要キャストには戸松遥神谷浩史豊崎愛生鈴村健一梶裕貴阿澄佳奈代永翼と、アニメファンにおなじみのメンバーが揃っている。この手の企画は、むやみにチャレンジ精神旺盛なキャスティングをしてハラハラさせられることが間々あるが、『ずっ好き。』に関してはすばらしい安定感で作品世界に没入できる。恥ずかしい台詞もクサい芝居も、しっかり演技のできる声優がやればサマになるのだ。

 

[俺にはこんなキラキラした青春なんかなかった度:☆☆★]

 

 

『ずっ好き。』を一言で表すなら、これに尽きる。

 

本作の尺は、BDパッケージの表記だと64分。本編開始後すぐ、OP主題歌恋色に咲け」(CHICO with HoneyWorksがTVアニメのOP風に流れるし、EDではハニワが声優ユニット・スフィアとコラボした主題歌一分一秒君と僕の」(HoneyWorks meets スフィア)がフルサイズで流れるから、正味の本編は60分に届かない。

 

 

この短い尺で何があるかといったら、「恋愛」ただひとつだけである。つまり、徹頭徹尾ティーンエージャーのキャッキャウフフしかない

この判断は正しい。1時間しかないのに、そこへ恋愛以外の要素(訓示性とか練り込まれた伏線とか)入れたら破綻してしまう。

 

本作が公開されしばらく経った2016年6月、「ITmediaビジネスオンライン」にて、このようなインタビュー記事が掲載された。

www.itmedia.co.jp

 

まとめると、「届けたい層を想定し、その層が見たいものだけを描いたから」ということになるのだろうか。

はじめから多くの人に見てもらうことを想定せず、ターゲットを絞り込み、そのターゲットが求める要素をシンプルに詰め込む。まさに一点豪華主義。実に潔い、清々しい。

 

……で、私が思い出したのが、『コマンドー』である。


吹替の帝王 第8弾『コマンドー ディレクターズ・カット<製作30周年記念日本語吹替新録版>』2015.4.24発売!

ターミネーター』とならぶシュワちゃん(アーノルド・シュワルツネッガー)の代表作。我が国ではたいへんなカルト的人気をほこり、TV放映されれば地上波・BS問わず、たちまち実況でTwitterのサーバーが危険域に達する。ほとんど信仰と言っていいレベルかもしれない。

 

これも本作が、一点豪華主義であるがゆえだろう。最初から最後まで、徹頭徹尾「たたかい」ひとつで突っ走り、余計なものが一切無い。全体の尺も、未公開シーンを追加したディレクターズカット版で91分しかない。まさにシンプル・イズ・ザ・ベスト。

 

 

 『ずっ好き。』は、中高生のキャッキャウフフを描いたアニメ映画ということで、スタジオジブリの名作『耳をすませば』や、細田守監督の傑作ジュブナイルSF『時をかける少女』を引き合いに出して語る声を多く見かけた。いわく、「見たら死にたくなる」と。 自分には、こういう胸がキュンキュンするような青春を送ることができなかったと。

 

確かに、そういった側面もあろう。実際私も、『ずっ好き。』鑑賞後に湧き上がった自殺衝動を抑えるのに苦労した。しかし、5回くらい見返したら、「ひょっとしたらコレは『コマンドー』なのでは?」という新たな見地に達した。ゆえにこんな、ダラダラととりとめもなく長い記事をしたためるに至ったのである。

 

最後に、あらためて主張(こじつけ)を述べさせていただき、締めとしよう。

 

「ひとつの要素だけで映画を構成する一点豪華主義のつくり」という点において、『ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~』は、『コマンドー』と同じカテゴリの映画である。

 

以上。