知ってることだけ話しますよ

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東野圭吾「加賀恭一郎シリーズ」②~『どちらかが彼女を殺した』『私が彼を殺した』『嘘をもうひとつだけ』

東野圭吾「加賀恭一郎シリーズ」①~『卒業』『眠りの森』『悪意』 - 知ってることだけ話しますよ

↑前回はこちら

 

 

加賀恭一郎シリーズの第1作『卒業』の単行本は1986年に刊行され、第10作『祈りの幕が下りる時』の刊行は2013年である。

放課後 (講談社文庫)

放課後 (講談社文庫)

  • 作者:東野 圭吾
  • 出版社:講談社
  • 発売日: 1988-07-07

 

東野圭吾が『放課後』で作家デビューしたは1985年。デビュー翌年からシリーズが開始されたわけだ(当初は同一主人公のシリーズものにする意図は無かったらしいが)

 

すなわち、加賀恭一郎シリーズの歩みは、そのまま作家・東野圭吾が辿った軌跡であると言っても過言ではない。

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東野圭吾「加賀恭一郎シリーズ」①~『卒業』『眠りの森』『悪意』

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有名だけど手をつけてないコンテンツというのが結構あって、私にとってはミステリー小説がそうだった。小さい頃から本を読むのは好きだったが、ミステリーに対しては苦手意識があったのだ。

 

「ドラマとちがって活字じゃ、謎解きとかトリックとか、頭に入れておかなきゃいけない事柄が多くて、読むのしんどそう」

というのが理由だ。もしかして同じ理由でミステリーを敬遠している人はけっこういるんじゃないか。

 

しかし去年、

 

「この歳になって、東野圭吾を一冊も読んでないって、かなり恥ずかしいのでは!?」

 と思い立ち、あわてていろいろと東野圭吾の著作を買い込んだ。

orehero.hateblo.jp

参考にしたのはこのエントリ↑。こうやって先達の知恵を無料で提供してもらえるのだから、実にありがたい話である。

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森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』(☆☆☆)

夜は短し歩けよ乙女』(単行本2006年、角川文庫2008年、角川つばさ文庫2017年)

著:森見登美彦

イラスト:中村佑介(単行本、角川文庫)、ぶーた(角川つばさ文庫

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

 
夜は短し歩けよ乙女 (角川つばさ文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川つばさ文庫)

 

 

<物語>

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。

 

一言で言うと「奇人変人大集合絵巻」。出てくる人物にマトモなやつが誰ひとりとしていないし、巻き起こる事件は素っ頓狂かつ荒唐無稽、頭の固い人は「ふざけているのか」と怒り出すようなバカバカしさです。でもそれがいいんです、最高に気持ちいい。読み進めるうちに、

 

「この世界に戸籍をうつして住み着きたい!」

 

と思える居心地の良さがたまりません。こんな気持になったのはアニメ『となりの怪物くん』以来です(あれも奇人変人大集合絵巻で、とてもとても居心地のいい世界観だった……)。

 

嫌な現実から逃れ、すこぶる居心地のよい森見登美彦ワールドに浸る快感は、一度味わったらクセになること請け合いですよ。

 

夜は短し歩けよ乙女 (角川つばさ文庫)