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冷静(ロジック)と情熱(ファンサービス)のあいだ~『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL』

前回↓

http://anmitsuk.hatenablog.com/entry/2019/05/16/234746

 

『平成ジェネレーションズ』三部作マラソン、折り返しの2本目である。

仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー [DVD]

仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』(2017年)

脚本:武藤将吾高橋悠也

監督:上堀内佳寿也

 あらすじ(allcinemaより引用)

仮面ライダービルドとエグゼイドが、ゴースト、鎧武、フォーゼ、オーズら平成レジェンドライダーと夢の競演を果たす「仮面ライダー平成ジェネレーションズ」シリーズの第2弾。仮面ライダービルドの世界を舞台に、人類の危機に立ち上がったヒーローたちの活躍を、前作をしのぐスケールで描き出す。主演はビルドの犬飼貴丈とエグゼイドの飯島寛騎。共演に渡部秀福士蒼汰、佐野岳西銘駿三浦涼介大槻ケンヂ。監督は本作が劇場初監督作となる上堀内佳寿也
 ある日、仮面ライダービルドの前にエグゼイドの敵であるバグスターが出現する。存在するはずのない敵に為す術のない戦兎。黒幕は科学者を名乗る謎の男、最上魁星。彼によってビルドとエグゼイドの世界が文字通り激突しようとしていた。世界の滅亡までに残された時間はわずか24時間に迫っていた。そんな人類の危機を前に、かつてのレジェンドライダーたちがビルド、エグゼイドのもとへと集結する。

 

映画前半のキモは、別世界(『仮面ライダーエグゼイド』の世界)に飛ばされた万丈と、『ビルド』本編の世界に残された戦兎とが、なんとかコンタクトを取ろうとする四苦八苦である。

 

というのも、『仮面ライダービルド』は非常に独特な世界観を有する作品だから、これまでのMOVIE大戦のような<そのときだけクロスする、ユルいつながり>で済ませられない。歴代ライダーと共演するには、パラレルワールドの一手しかない。

(ついでに言うと、『エグゼイド』の世界とつなげれば、前作『平ジェネ』があるから、自動的にそれ以前のライダーも登場できる)

 

エグゼイドとビルドが初めての邂逅をはたす『仮面ライダーエグゼイド:トゥルーエンディング』のエピローグにまで緻密な伏線があったとは恐れ入った。安易な「お祭りだから」「細けえこたあいいんだよ」で済まさない、計算され尽くした作りには脱帽ものだ。これなら面倒くさい仮面ライダーオタクも、難癖をつける気になるまい。

 

で、個人的にはそんな細かい気配りが本作の良いところであり、ちょっと悩ましい部分だとも思っている。だって俺バカだから。

 

まず前提となる作品舞台の組み立てが非常に細かいし、悪役:バイカイザーのキャラクター描写もとんでもなく細かい。セリフの半分くらいは背景と因果関係のマジメ極まる説明に費やされている気がする。

 

『エグゼイド』『ビルド』どちらも、作中のことがら全てにしっかりした理由付けをおこなう作劇だった。そんな両作の脚本家が連名で執筆しているのだから、細かい気配りと細かい気配りの累乗。これは観客への配慮という以上に、高橋・武藤両氏とも、自分自身がちゃんとお話に理屈をつけないと安心できない気質なんだと思う。

 

繰り返しになるが私はバカなので、途中で頭が痛くなってしまった。作中で語られたファクトを半分も理解できていないし、バイカイザー/最上魁星は

「なんか世界をメチャクチャにしようとしている、なんか頭のイカれた大悪党」

くらいの認識しか持ててない。具体的にどういうキャラクターだったんだあいつは?

 

ライダーの共演に関しては、「仮面ライダーWが転がって逃げたドーパントを追いかけていたら、ピンチに陥っている仮面ライダーディケイドに遭遇した」くらいでも別にいいんじゃないの、と思ってしまった映画でした。

 

それにしても……。

 

『ビルド』TVシリーズ最終回で戦兎が成し遂げた<新世界への再生>が、形こそ違えど本作で最上魁星がもくろんだ計画の再生産であるという構図は、なんたる皮肉であろうか。